ネットショップの利益と売価を考える
ネットショップの利益と売価を考察
当たり前の事ですが、商品価格は需要と供給のバランスによって決定づけられます。
- 需要過多(需要>供給) ⇒ 値上げ圧力
- 供給過多(需要<供給) ⇒ 値下げ圧力
ただ、この需要の切り口で見える景色が変わる事に気づいていない人が多いように感じます。
例えばバッグ(鞄)という切り口で需要を見た場合様々な商品が世の中にあふれており供給過多な状態です。しかしDiorのバッグとなると世界的には需要過多となり高い値段を維持できます。たとえ日本でそれほど需要が高くなくてもです。
利益率を高めるために付加価値をつける
付加価値をつけるというと追加サービスの提供を考えたりサポートの充実を上げたりする方がいます。
もちろんそれもアリです。
ですが、要望にあった商品を的確に伝える事を付加価値と捉える方はそう多くいません。
ネットショップでは商品を手に取って選ぶことが出来ません。だからこそ、商品の情報はとても大切です。
私の扱っている商材『フライパン』で具体的に考えてみます。
フライパンという商品は供給過多の商材です。ここに、需要の多い『くっつかない』という性能を加算してもまだ供給過多です。
世間の流れはくっつかない洗いやすさを求めているため、管理や調理に手間のいる鉄製フライパンは供給者が激減しました。
実はこの鉄製フライパン、製造コストが安価な割にそれなりの値段で売れる利益率の高い調理道具です。
そこに、家庭用+大きいサイズが加わると需要のパイも狭くなりますが供給者も少なく競争が激しくありません。
こういった狭いパイに対して求める商品が探しやすい環境もサービスであり付加価値。安売りの消耗戦から外れる方法の一つです。
おおよそ目安の利益率
- 需要過多 ⇒ 15% ~ 50%
- 供給過多 ⇒ 2% ~ 5%
沢山の商品を見てきたところ、おおよそこんな数値で推移しています(プレミアム価格を付けない店舗の場合です)。
ネットショップでの売れ筋価格は500円~5000円と言われています。これを基に表にしてみます。
売価 | 利益率 2% | 利益率 5% | 利益率 10% | 利益率 15% | 利益率 20% | 利益率 30% | 利益率 40% | 利益率 50% |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
500円 | 10 | 25 | 50 | 75 | 100 | 150 | 200 | 250 |
1,000円 | 20 | 50 | 100 | 150 | 200 | 300 | 400 | 500 |
3,000円 | 60 | 150 | 300 | 450 | 600 | 900 | 1200 | 1500 |
5,000円 | 100 | 250 | 500 | 750 | 1000 | 1500 | 2000 | 2500 |
利益額と集客数
生活できるレベルの利益を獲得しようとした場合、50万/月程度が必要となります。(モールへの出店料や家賃、仕入原資等の出費がありますから給料として支払える額は利益50万で22万程度です)
利益50万を稼ぐためにはどの程度の集客が必要でしょうか。モールでの平均コンバージョン3%で計算してみます。
必要販売数/月 | 必要販売数/日 | 必要集客数/月 | 必要集客数/日 | ||
---|---|---|---|---|---|
売価500円 | 利益率2% | 50,000 | 1,667 | 1,666,667 | 55,556 |
利益率20% | 5,000 | 167 | 166,667 | 5,556 | |
利益率50% | 2,000 | 67 | 66,667 | 2,222 | |
売価1000円 | 利益率2% | 25,000 | 833 | 833,333 | 27,778 |
利益率20% | 2,500 | 83 | 83,333 | 2,778 | |
利益率50% | 1,000 | 33 | 33,333 | 1,111 | |
売価3000円 | 利益率2% | 8,333 | 278 | 277,767 | 9,259 |
利益率20% | 833 | 28 | 27,767 | 926 | |
利益率50% | 333 | 11 | 11,100 | 370 | |
売価5000円 | 利益率2% | 5,000 | 167 | 166,667 | 5,556 |
利益率20% | 500 | 17 | 16,667 | 556 | |
利益率50% | 200 | 7 | 6,667 | 222 |
ちなみの比較対象用データも転載しておきます。
- ジャパネットたかた: 212万人/月
- ロハコ:600万アクセス/月
- 楽天市場(全体):2.86億アクセス/月
- Amazon:4.18億アクセス/月
- Yahoo!ショッピング:7200万アクセス/月
- Qoo10:980万アクセス/月
- ポンパレモール:760万アクセス/月
ジャパネットたかたで月間212万アクセスですから、売価500円利益率2%の商品メインで生活できる利益を稼ぐ=166万アクセス/月取得。ほぼ無理だと推定できます。
まとめ
価格競争が激しくなっているネット通販で20%の利益を確保する事はとても難しいのが現実です。
ですが、売価5000円であっても利益率2%では月間16万の集客が必要です。ジャパネットたかたが212万アクセスなのですから、ほぼ無理ゲーでしょう。
競争の激しい中で20%の利益率を何とか稼ぐためには、ターゲットを狭め顧客に刺さる商品紹介をしていくほか道はありません。
ですが、ターゲットを狭める=集客のパイが減るです。集客数とターゲットの2軸で考えていくと八方塞の様に感じてしまいますが、そんなことはありません。
なぜなら、ターゲットを絞りターゲット顧客に刺さる商品紹介をすると決定率(コンバージョン)が上がるからです。
先の投稿『「沢山の人に販売したい」その時点でNGです。』でも記載した通り、集客よりもコンバージョンを重視しながら商品ページに付加価値をつけましょう。
さぁ、店舗運営頑張りましょう!
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