システム案件の探し方:お手伝いしているプログラミングスクールで頂いた質問について

システム案件の探し方:お手伝いしているプログラミングスクールで頂いた質問について

システム案件の探し方:お手伝いしているプログラミングスクールで頂いた質問について

最近の記事でも少し触れましたが、スクールに通う方が現役エンジニアに聞きたい事として「受注について」という項目が根強くあるようです。
前回記事では【スクールで何を身に着けるべきか】を中心に記事を作成しました。
今回はお仕事の取り方を中心に記載していきたいと思います。
※契約形態についても少し触れますがこの詳細については別記事にてまとめます。

システム案件の探し方

まず現役のエンジニアの方たちがシステム案件をどうやって探しているのかをまとめると次のようになります。

  1. 私的に構築しているネットワークを通して仕事を受託する
  2. 案件紹介サイトに登録して表示されている案件に申し込みをする
  3. エージェントに入ってもらい案件を紹介してもらう

それぞれをもう少し詳細に説明してみます。

私的に構築しているネットワークを通して仕事を受託する

私的に構築しているネットワークとは次のようなものを指します。

  • 親戚/縁者、またはその人たちが所属する会社
  • 前職で出入りしていた個人や企業
  • 商工会や賀詞交歓会などで名刺交換した相手
  • ゴルフコンペや銀行主催のイベントなどで知り合った相手
  • 以前仕事をさせていただいた会社

賀詞交歓会やゴルフコンペなどは経営側の方が出ているので名刺を頂いた方の会社に訪問し営業をかけていきます。なので、営業がとても重要です。
一方で、事前仕事をさせていただいた企業さんからの指名依頼があります。長年仕事をされている方はこういった指名依頼を受けている方が少なくありません。

私的ネットワークを利用した受注の場合『成果物』の扱いが重要である場合が多く、その場合は契約形態は請負契約(又は成果物の納品を明記した委任契約)となります。

案件紹介サイトに登録し表示されている案件に申し込みをする

案件紹介サイトという便利なサイトがたくさんあります。一部を記載してみます。

サイト名 依頼主 契約相手
CloudWorks
  • 納品物を利用する企業または個人
  • 納品物を納品する企業または個人
依頼主(サイト内に仕事を発注している人)
Lancers
  • 納品物を利用する企業または個人
  • 納品物を納品する企業または個人
依頼主(サイト内に仕事を発注している人)
コデアル
  • 企業のシステム開発部門
  • システム屋(インテグレーター)
サイト運営企業
ITプロパートナーズ  同上 サイト運営企業
アサインナビ  同上 サイト運営企業
レバテック  同上 サイト運営企業
pe-BANK  同上 サイト運営企業
TECH STOCK  同上 サイト運営企業
TimeTicketPRO  同上 サイト運営企業

こういったサイトでは沢山の依頼や求人が記載されており、記載されている案件に対して申請(応募)し受託していきます。
スキルレベルの高い方はこの方法でも十分に仕事の受託が可能です。

エージェントが入らない分、マージンといったものは発生しませんので依頼額をそのまま受け取ることができます。

エージェントに入ってもらい案件を紹介してもらう

上記コデアル以降のサイトでは依頼者と受託者を橋渡しするエージェントが在籍しています。(便宜上、エージェントの在籍する企業を以降「エージェント企業」と表記します。)
また、上記サイトへ案件を載せている企業さんがエージェント企業だったりします。
こういった企業さんとエージェント契約を結ぶとシステム案件をエージェント企業が探してくれるようになります。
エージェント契約は多くの場合で次のような内容になっています。

  1. 個人にあった案件をエージェントが探す
  2. 探した案件に対して「個人の承認を得ずに」案件に対する申請を行う事がある
  3. 依頼主側から面談依頼を受けた場合断ることはできない(特別な理由がない限り断らないで欲しい)
  4. 仕事の受託についての最終判断は個人に委ねられる
  5. 案件探しから受託までの間で特別な費用は発生しない。(契約締結時の手数料や支給額に対するマージンは発生する)

システム系の案件は依頼が出てから受託者が決まるまでのスパンが大変短いらしく、案件紹介サイトで出ている案件に応募しても決まらない事が多いそうです。(エージェント曰く)
そのため、スキルや要望にマッチした案件が出たら申し込みをしてくれるエージェントに「見方についてもらう」方法を探すことが大切であると思います。

システム案件の受注について

どうすれば案件の受注ができるのか。
それは、上に記載したサイト『CloudWorks』『Lancers』とその他のサイトによって様相が全く異なります。
CloudWorksやLancersのような【依頼者=利用者】の案件の場合では、案件に対して値付けをして依頼主が誰に発注するかを決めます。
そのため契約は多くの場合で請負となり、かつ安価な入札を行った人に発注されることが多いです。そのため、値下げ合戦の様相を生み出します。

一方で、コデアルやITプロパートナーズのような【依頼者=インテグレーター】の案件の場合。
依頼者がシステム周りの著作権などの情報をしっかりと持っています。そのため、作業者に著作権を持たせないような契約を行うことが多く、役務を提供する「委任準委任」といった契約形態をとる事が多いです。作業者の価格よりも産業スパイのようなことをされる方が痛手を被るため、多くの場合で単価が高く相場としては初勤務で50万/月あたりになるそうです。

初級者でも受注できるか(複数のエージェントから聞いた話)

スクール上がりの初級者がシステム案件を受注できるかという点について、私には正しい情報がなかったので私の担当をしてくださっているエージェントさん(複数)に聞いてみました。
その結果が下の内容です。

  • 業務実績が1.5年以上無いと求める案件にマッチングさせることが難しい
  • 業務実績は自己案件(自分で作ったサイトなど)はカウントされない
  • 自己案件はスキルを判断するのに有効な手段なので、業務実績がない場合は自己案件の積上げがほぼ必須
  • 業務実績がなくても(自己案件の)作成したアプリやスクリプトにてスキルがわかると受け入れてくれるインテグレーターがある
  • 業務実績がない場合はポートフォリオが必須
  • コロナの影響で地方の技術者が(リモートで)関東の案件に参加できるようになり、初級者の案件決定率は落ちてきている

基本的に自分をどのように見せるか「自己PR次第」といった感じです。

初級者につらいのはコロナの影響でリモートが当たり前になり「地方に住んでいたエンジニアが関東の案件を受注できるようになった」事です。
この反動で最初から戦力になるエンジニアの総数が増え『初級者』は仕事を見つけにくくなっているそうです。
かといって「見つからない」訳ではないので、経験とPR力を磨いていきましょう。

エージェントはココでスキルを判断する

  1. 職務経歴
  2. 開発したアプリ(自己案件のアプリ可)
  3. 構築したサイト(自己案件のサイト可)

職務経歴は細かく書いてある方がいいそうです。
ただし守秘義務にあたる個所を記載してしまうとOUTな人と受け取られることもあり注意が必要です。

また自己案件であったとしても「こんなアプリを自作した」「こんなサイトを構築した」と言った情報はとても大切だそうです。
作成したシステムがどんなものであるかといった情報をエージェントさんは欲しがります。
作成したサイトが公開されている場合はURLまでしっかりと記載し確認と証明ができるようにし、多くの場合で提出を求められる業務経歴書に『社名:自己案件』としてまとめます。
こうすることで、獲得技術について知る事が出来るので案件探しに役立つのだそうです。(※自己案件は業務経歴とは認定されません)

依頼主はココであなたを判断する

一般的な企業さんだと職務経歴で勤続が短いとそOUTです。
しかし、システム屋の場合は1つの案件に携わっている期間が短くても(理由を聞かれる事はあっても)大きな問題にはならないそうです。
これはシステム屋の仕事には「長期案件」と「短期案件」があるからで、たとえ3カ月で次の案件に代わっていても「ソレはソレ」です。
ただし、大きな障害とはならないものの依頼主との面談の際に「〇〇の案件は短かったようだけどなんで終わったの?」と聞かれる事はある様で、解答は用意していた方がよさそうです。

ではどこで判断するか。もちろん「何ができるか」なのですが、中でも次の3点がとても重要です。

  1.  その案件で利用する言語で何某かの経験がある(現場に入っても仕事をこなせるスキルがあると判断できる)
  2. Gitを利用したことがある
  3. 集団開発に携わったことがある

集団開発経験については、PSRやPEP8などのコーディング規約(他人が見ても理解できるコードの書き方)を知っているかというよりも、全体でのタスク管理など「与えられた役割の中で上手に対応できるか」といった事に視点が注がれているようです。

エージェント企業に対してどのように伝えるか

エージェント契約をすると上前をはねられるとお話ししましたが、実際に案件を沢山用意してくださるので経験のない時ほどエージェントはありがたい存在です。
しかし、前述のようにシステム屋としての職務経歴がないと(探すのが大変なので)エージェントさんは着いてくれません。
なので、前提として自己案件を3件以上載せたポートフォリオを用意します。

お小遣いを稼ぎたい(少額の受注をしたい)場合

この場合はエージェント企業についてもらう必要はありません。
作成したポートフォリオをもとにCloudWorksやLancersの案件に片っ端から応募していきます。
CloudWorksやLancersでも発注者側が誰に発注するかを「Portfolio」と「入札額」から判断し依頼します。
「〇〇円でやりますよ」だけでは受注はできないと言う事だけは頭に入れておきましょう。

個人的には、CloudWorksよりもLancersで受注する事をお勧めします。
理由は作業単価が全然違うからです。
WordPressでのサイト作成であれば、CloudWorks = 1~5万円 / Lancers = 10~15万円 という程度の違いがあります。

色んな案件に携わりスキルを上げたい場合

初級者であればLancersの受注でスキルを養いながらエージェントに売り込みたい所です。
そして「可能であればSES企業と契約を結びたい」と伝えます。

SESの方達は初級者だと感じても面談までは意外としてくれます。
そして、こなした面談の数が多いからでしょう。経歴書から的を得た質問をしてきます。
例えば「PHPしか触ったことがないんだね」とか「このサイト作成するのにどのくらいかかりました?」とか。
言い方は悪いですが、こういった経験を積みながら回答の制度を上げていきます。

また、SESの方達は『教育』という概念をしっかり持っています。
「HTMLやCSSがわからない」というレベルだと歯牙にもかけてもらえないと思いますが、Laravelなどのフレームワークでサイト構築経験がある20代の方ならあっさりとSESとの契約にたどり着けるのではないかと思います。※SES企業の場合、年齢が高いと採用率は悪くなります。35を超えた方はSI企業に目を向け上流工程の知識と経験を身につけましょう。そうすることでSES企業側にも受け入れられやすい環境を構築できます。

ちょっと補足

案件を探していると『SES企業/案件』『SI企業/案件』といった単語がよく出てきますので、そこら辺を解説します。

SES企業:システムエンジニアリングサービスを行う企業の事。ソフトウエアやシステムの開発/保守/運用などの特定の業務に対して技術を持ったスタッフを派遣/準委任などの形で依頼主のもとに提供する業務を行っている。

SI企業:システムインテグレーションを行う企業の事。SIerとも表記される。要件定義など上流工程の業務もあり、クライアントの漠然とした要望を形にし開発/保守/運用の業務はもちろん、その枠組みを作る業務も行う。

基本的に、SES企業よりもSIer企業の方が給与は高額になり、大手SIerでは200万/月を超えることも珍しくないのだとか。私には異世界の話に聞こえますけど。

プログラマとして生計を立てたい場合

今はとても良い時代になって、システム屋もリモートが当たり前になってきました。
そのため、地方にいながら関東の仕事を受注する事が出来ます。

最初はエージェント企業に入ってもらい案件を探し、その後継続契約が成立したらしかるべきタイミングを見計らって契約の見直しを行うなんて事も可能です。
関東ですと50万/月は当たり前、いきなり100万/月で準委任契約なんて事もあり得ます。前述したとおり、SIerに至っては200万/月以上の人もいるのだとか…。
つまり、エージェントに希望単価を60以上と伝えておくと関東の仕事にありつける機会が増えます。

また、上流工程(要件定義など)の経験を持っているとSIerとの契約に至る事が出来ます。

地方にいれば60万って2か月分の給料だったりしますよね。それが1月で手に入るのですから十分生計を立てる額になっていると思います。
地方の案件ではなく東京(関東)の案件を探すこと、それがシステム屋として食べていくために必要な事です。

大手企業でお仕事をしたい場合

派遣契約を了承するとエージェントに伝えます。
大手企業さんでは、社内情報セキュリティーを重視する為『委任/準委任』を採用しないケースがあります。
個人相手に請負契約を結ぶことは間違いなく無いでしょう。

この理由には『作業者に対する命令を誰が行うか』『著作権は誰が持つか』といった事が関わっています。
※このあたりの詳細については別記事にて記載したいと思います。

まとめ

ザクっとまとめましたが、初級者はまずポートフォリオを作成し、手当たり次第に案件紹介サイトへ登録。
そこでいくつもの案件に申請し、食いついてきたエージェントさんを味方にして案件取得までお付き合いいただく。
こんな流れで受注までこぎつけるはずです。

受注に至らない場合は「Portfolioの見直し」「Lancersや自己案件での経験値UP」を図り前に進みましょう。

現在、フロントエンドのエンジニア人口は増えてきているようです。
が、データベースなどバックエンドのエンジニアは少ないのだとか。
そのため、何でもできる人間は意外と重宝され案件のお話を頂く機会も多くなります。

自分にとっていい環境を作るためにも、皆さん頑張りましょう!