Amazonの売価変動を見る『Keepa』の見方と平均価格の落とし穴
Amazonの売価変動を見る『Keepa』の見方と平均価格の落とし穴
EC事業者の多くが知っているであろう『Keepa』というAmazonの売価分析サイトがあります。
先日、某IT案件紹介サイトにてこのKeepaよりももっと高頻度な価格変動チェックをしたいという内容の案件がありました。
今回はそんな案件を見てふと思った事をまとめてみます。
Keepaの価格チェックのタイミング
FAQにこんな記事がありました。
Q:どのくらいの頻度でデータ更新していますか?
A:誰かが商品を追跡している場合は、1時間に1回、そうでなければ、1日1回です。
そりゃね、膨大な量の商品なので全商品を1時間/回とかやったらTracking膨れすぎるでしょう。
つまりは、30分に1回見に行くスクリプト組めば某案件サイトの発注者さん満足しちゃうわけです。
「それ、できますよ。ただしチェックする商品数に限りあるけどね」
Keepaの平均価格って何見てる?
本題です。
Keepaヘッダメニューの商品を押すと凄い割引数字が並んでいます。
50%OFFなんて当たり前。80%OFFとか、凄いのだと90%OFFとか。
さぁこの数字【どこから見た割引】でしょうか。
それは3か月価格の平均値からの割引率となっているのだそうです。
実際の変動データを見てみる
高割引率の商品から面白い変動をしているデータを4つほどピックアップしてみました。
さぁ、どう判断しますか?
ぱっと見で平均価格に対する割引率が高くなる理由は分かりますよね。
ではこの商品の通常売価(※普通に販売可能な売価)は高い方/低い方どちらでしょうか。
これを理解するには、Amazonの値下げ/値上げがどのようなアルゴリズムで実行されているかを知る必要があります。
Amazonの価格変動タイミングについて
もちろんアルゴリズムが公開されているわけではないので【推測/推定】ですが、複数の方が同じ見解を持っているようです。
- Amazon倉庫の在庫数が少なくなると一気に値上げする
- Amazon倉庫の在庫減少が小さいと徐々に値下げする
- Amazon倉庫の在庫数が戻ると急な値上げが元に戻る
この視点で上の4つのグラフを見てみると次のように分析できます。
- 左上の画像:徐々に減り急に値上げ => 在庫過多から値下げと共に徐々に在庫減少、後に在庫補充で最終販売価格に戻る
- 右上の画像:2つの価格上昇が存在 => 安い方の価格で安定的に販売される商品。在庫減少してもすぐ補充され価格も戻る
- 左下の画像:安定価格が急な上下動=> 安い方の価格で常時販売されるが売行き不明。在庫減少後の補充は早く戻りも早い
- 右下の画像:値上げの柱が複数存在 => 販売価格は不明だが確実に販売が成立している。在庫補充数の少ない可能性あり
もちろんBIGデータを牛耳るAmazonの事ですから、在庫だけで価格変動が起こっているとは思っていません。
『過去の販売価格』『商品の販売総数』『マーケットプライスの動向』なんかも閾値に絶対入っていると思います。
例えば、在庫補充前の値上がり幅の大きな商品は「過去その価格で販売実績がある」から【その価格】なんだろうとか、様々な情報をコントロールしていると思います。
Amazonの販売価格は自動制御されている
マーケットプライス出店者にも自動値下げ機能を付与しています。
なので、設定した閾値まで値下げ合戦を繰返す事も少なくありません。
残念ながら自動値上げ機能はAmazonのみが持ってます。
こんな背景があって、Amazonの販売価格は異常な上下動をするんですね。
まぁ世間にはいろんなアプリがあるし、AmazonのAPIは優秀なので『Amazon売価の5%OFFを常に値付けする仕組み』とか意外と簡単に作れます。
Amazon売価を維持するために一部のメーカーが行っている対応策
現在の市場は【Amazonの価格=市場価格】として認識されてしまう傾向があります。
そして、Amazon売価はAmazon倉庫の在庫数で変わる事は多くの人が推測している事柄です。
その為、最近はメーカーさんが次のような戦術をとる事があります。
製造数をわざと減らす(在庫を供給しない)
在庫が少ないと実売価格が戻る仕組みを利用して【常に品薄状態】を演出し市場価格となってしまうAmazon売価の下落を防ごうというものです。
私たち売り手からすると機会損失なので「ふざけるな!」となりますが、メーカーの利益確保のためにはしょうがないのかもしれません。
『Keepa』の平均価格の落とし穴
このような様々な要素が絡み合って販売価格の変動が発生しています。
なので、割引率が高いから「お得」だとか「Amazonせどりできる」とかいったものではないんです。
Keepaの平均価格は3か月平均なので急な上昇が1回でもあれば平均値は相当数引き上げられます。
つまりは【販売成立価格】の平均値ではないと言う事は知っておかないといけません。
KeepaってAmazonせどりの方が多く見ているみたいですけど、割引率ばかり見てると痛い目見ると思います。
まとめ
ウチの取扱商品の価格変動調べてみたら驚くほど変化がありませんでした。
これって、その価格でチマチマ売れてる事を意味してます。
う~ん、美味しくない…。
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