ECと業務システムの関連性、今後どうなっていくか

ECと業務システムの関連性、今後どうなっていくか

ECと業務システムの関連性、今後どうなっていくか

ある方から問われたので、私なりの思いをつづってみようと思い記載いたします。

【EC業界がこれからどうなっていくか】という議題については多くの方がご意見を述べられているので、私はECとシステムの関連性という視点で話を展開させていただきます。

業務システムは既にEC事業に必須の道具になっている

私のシステム開発ものがたりでも記載しましたが、EC事業を展開する中ですでに出品関連を補完する業務システムは必須の道具になっていると感じています。

商品点数が20~50程度の店舗であればシステム化しなくても問題ないでしょう。
具体的には自社にしかない商品を展開する【お菓子屋さん】とか【ハンドメイド雑貨屋さん】とか。

こういった店舗の強い所は顧客がずっとついていてくれる事です。
つまりはリピート率が高い。

一般流通する商品とは最初から差別化されているので価格比較もしにくい「アッチが安いのは腕の差」って言えてしまえるし、購入して満足された方はそれに納得してしまえる。一度納得すればその店舗の品質以上でないと満足が出来ない。つまりは腕の品質で勝負が出来るわけです。

そんな店舗にはシステムは要りません。重要なのはちょっとしたWEBの知識と腕です。

でも、弊社のような一般流通する商品を扱っている場合は話は全く異なります。

どこで買っても物は同じ

全てはこの一言に尽きますよね。

これが販売のシーンであれは「本当にそうでしょうか!」と言葉をつなぐ場面ですが、真実は【同じ】が正しいわけです。メンテナンスとかを売りにしてPRしている店舗さんもありますけど、結局メーカーに反してメンテしてもらうわけですから段取りのスムーズさに多少の違いはあれど結果は同じです。

そうすると他店の動向には注視しなくてはなりません。

A社が○○円で売っていた、うちは仕入が○○円だ。「仕入先に値下げの依頼しなきゃ」

私がWebShopCreatorVer.Makerをご利用いただいている企業さんにはAmazon売価を見た販売店からの値下げ交渉がワンサカ来るそうです。メーカーさんだって暴利で卸してるわけでもないのに。後追いしたら利益1%で出品してる所があったそうです。これどこが喜ぶんでしょうね。

答えは簡単。Amazonとエンドユーザーの2者ですよね。

嫌な話ではありますが、この価格調整を行わないと困ったことに本当に売れません。
そりゃそうですよね、誰だって安く買いたいですもん。
そして、モール側はこの価格比較のしやすさをお得感の演出として利用しています。
痛いのは中間業者だけ、困ったもんです。

さぁ、販売するためにはこういった情報調査をしなくてはいけません。
どうやって?

そこで力を発揮するのもまたシステムの力です。

現在の業務システムの担当分野

ざっくりまとめるとこんな感じです。

  1. 店構えの演出
  2. 受注管理 => ピッキング発送管理
  3. 出品サポート
  4. 商品関連情報収集
  5. メルマガ(メーリングリスト)サポート
  6. 売り上げ分析

書いてみると実感しますが多岐にわたってます。

これを全てシステム化すると月間いくらのコストになると思いますか?

メジャーどころを抽出して積算すると、ざっと20~40万程度です。

そして、さらには複数の企業のサービスを利用するとデータ同士の連携がお粗末になるというオマケまけつきです。安価なサービスだけピックアップして医療しにくいようになってるんですよね。

ちなみに私がシステム開発前に欲しかった機能は【2,3.4】の機能で、積算すると10万/月 になりました。某企業さん1社で導入しようとすると25万と言われました。まぁだから自社開発しようとの結論に至ったのですけど。

未来の業務システムの担当分野

では今後これがどうなっていくか、私の予測をまとめてみます。(もちろん既に担当している分野を除きます)

  1. 出品商品/出品モールの選定
  2. 適正価格の選定/設定
  3. 問合せの自動応答

多分、今後こんなパーツがEC業界のシステム化に入ってきます。

1 は自社の入荷価格とネット上の売価を比較し、どこのモールに出した方が良いか、そもそも出品した方が良いのかを判断する仕組みです。

2 は出品するならいくらで出品するのか、最安値を見る今の仕組みとは異なりより利益を載せられるように適正価格を判断する道具が出来てくると思っています。ここら辺は、既に先端を走るメーカーさんでは商品開発時に導入されています。

3 は基本的な応答を登録しておき回答するというスタンスの自動応答です。質の高いAIなんかを導入できるほどEC事業は利益の上がる事業ではないので定番応答を返す程度の仕上がりになるのだろうと思っています。

いずれにせよ【AIっぽい】がキーワードになり今後のシステムが開発されていくと予想しています。

「これ欲しい」という欲求は誰の要望か

さぁこの AI ですが、当然モール側でも導入していくはずです。既に一部導入が始まっていますよね。

  • Aさんの検索ワードを読み、本当に欲しい商品をご提案する
  • AさんとBさんの関係性から記念日のプレゼントをご提案する
  • Aさんが興味ありそうな人気商品をご提案する

人間ではなく、機械(AI)が商品提案するように今後間違いなくなっていきます。
最後の判断は人間でしょうけど、煽られれば本当は必要ないものも買ってしまうという事案は発生するでしょう。

さて、ここで問題が発生します。

我々店舗は売り上げを伸ばす為に【 誰 】に向けて行う商品提案をすればいい?

SEO対策なんてのはまさにモールやGoogleのシステムに対しての提案作業ですよね。

きれいごとを言えば【ご購入いただくお客様】に対してだし『そうあるべき』なのですが残念ながら各モールのサーバーに対しての提案作業が必須で、ここをクリアして初めて人に訴えかける事が出来る状態になるわけです。

つまりはサーバーに気に入ってもらえない商品は人目に触れることなく除去されてしまいます。これは今でも起こっている事です。Aさんが本当に欲しい商品が商品リストの中にあったとしても、Aさんが探せない状態が既に発生しています。

モールは商品需要をコントロールできる?

私の出品しているキッチン雑貨系でおもしろい動きがあります。

テレビショッピングでたまに紹介される商品で、非常に優れた機能を持つ商品があります。
実演販売や直販サイトなどではバカ売れしてます。
その商品、楽天市場では何故か1番を取れません。
価格は多少高い(ものが良いですから)という事実はありますが、他ではそれでも売れている商品です。

何故か。

ここに先ほど挙げた検索対策の話が絡んできます。
値段が高いため当然スタートダッシュは掛かりにくいです。
いつまでもビッグワードで2ページ目どまり。1番目どころか1ページ目にも来ません。
そうすると、検索されたお客さんは1番目にある商品に対してさらに高評価をしてしまいます。

「テレビで取り上げられていたこの商品よりも人気のある○○はとても素晴らしい商品なんじゃないか」

事実は「長く辞めずに売ってるだけだよ」なのですが、お客さんの印象は異なります。
そうなんですよね、検索順位をコントロールするだけで商品に対する印象が変わるんです。

これを金儲けに利用して順位操作する仕組みありますよね。
○○広告とかってやつです。

検索順位のコントロールだけで売れる商品を操作できてしまうのがモールの恐ろしさです。

だからこそ、ここに勝てないと生存の道が見えてこないし、逆にここに勝ては大きな成長を見据える事も出来るわけです。

発信と口コミとローカルコミュニティー

モール内の検索を無視するという手段をとる事も出来ます。

モール外からの導線がそれです。

SNSによる発信やローカル雑誌の掲載、いくつかの手段があると思います。
先日妻の誕生日に利用させていただいたケーキ屋さんはこのローカル雑誌をとてもよく活用していました。

まぁよく喋る店長さんで、来店のキカッケや店舗を知った経緯などを聞かれ答えてましたが、店内にケーキが10品しか並ばない小さな店舗なのにもかかわらず県外からのお客さんが多いのだそうです。

なんでだろうと思い調べてみたら【地域名+ケーキ屋】の検索ワードでグーグル上位にいました。
ローカル情報誌や地域イベントへの参加で店舗ページへの外部リンクが多かったことが原因だと思います。

他に店構えの大きい店舗なんて沢山あるのにそういった店舗さんはローカルイベント参加しないですからね。小さいならではの戦い方なんだなぁととても勉強になりました。この手法をECと結び付けて利用する。アリだな痛感しました。

ECの売上って、結局【検索結果】に左右される

ケーキ屋さんの例もそうですが、EC事業は結局【検索結果】に左右されます。

嫌でもです。

だったら、人にどう見られるかよりも『まずはサーバーにどうみられるか』を考えるのは間違えていないと思います。その為にはどうしても細かな調整が必要になってきます。
しかし、残念ながらすべての商品で細かな調整はやり切れません。

だからこそ、ここにもシステムの力が必要になってきます。

人の想像できる検索ワードは無限ではない

現在のシステムを構築していく際に、単語登録をどうするか考えた事があります。アイテム数1万に対してどの程度の単語がキーワードとして利用されるか。その推定値を出そうとしたのですが、ザっと5万語程度でした。

これはあまり使われていないサジェストも購入とあまり関係ないワードも含めた数です。さらには『くっつかない』『くっつ か ない』などの同じワードで分割方法の違うものも含みます。Googleアナリティクスから取ったのですが『くっつ か ない』と検索する人はそう居ないでしょうから、なんかのシステムの力が働いたのでしょう。

でもこの『くっつ か ない』って『くっつわからない』も検索対象になるんですよね、楽天の場合。

話を元に戻しまして、購入検索キーワードってその中でもさらに限れれています。
【安い】【高性能】【使いたやすい】【セール】【短納期(あす楽とか)】【プレゼント】etc.

こういった肝のワードも抑えていない商品って意外と多いんです(自戒の念を込めて)。
そう考えると、店舗運営の最低限の事を出来ている店舗って意外と少ないんじゃないかって思います。

ニッチ商材をECモールは補完するか

うちの取扱商品もそうですが、テレビCMなどをしない商品って沢山あります。ジャンルそのものがニッチであればニッチなニーズ検索から商品購入に結びついていくでしょう。でも、ジャンルはメジャーで商品がノンメジャーだったら?正直目も当てられません。

何故か、検索上位はメジャーオブメジャーが占めています。

その商品を上回る性能や特徴があったとしても。その特徴ズバリのワードで検索してくれる方はほぼ皆無です。非常につらいですが…。【 新機能○○ 】なんてワードはそもそも検索に利用されないんですよね。メーカーさんはこういった新機能をウリにしてきますが、EC事業でこういった商品が響かない理由はまさに『知られていないから』です。

店舗側の立場としては「メーカーさんが力入れて宣伝してくれれば」と思うのですが、まぁ難しいですよね。

システムの悲しい性

ここまでの流れでわかる通り、商品にシステムというフィルターを通過させるとメジャーとニッチの二極化が強調されます。そして「これに対抗したかったら広告出してね、優遇してあげるから」という仕組みになってるんですよね。

ECモールのシステムではこういった2極化原理が働いている為、売れている商品がより売れるように加速していきます。そういう仕組みであると理解する所からスタートしないと売り上げを作る事も出来ません。

つまり結局こう言う事

モールで売上を上げようとした場合、取れる方策は3つです。

  1. 売れる商品をどこよりも低価格で販売する
  2. SNSなど他の媒体を利用してモールへの導線を確保する
  3. 最低限のワードをちゃんと入れ、微調整を繰返しながら大手が取りこぼしているワードを探り当てる

このうちの1と3はどうしても業務システムの力が必要になります。

まとめ

5年ほど前まではこれほど格差が出ない業態でしたが、今は売れてる店舗とそうでない店舗には大きな差異があります。また、売れる商品とそうでない商品にも差異があります。

これが商品や店舗の品質とイコールではない事が不幸の一端です。

売上を作る為には、モールのサーバが理解しやすい構成にし、ワードの穴を見つけ様々な媒体で発信する。

やる事沢山ありますよね。どう切り取ってもシステムによる効率化は必須になってきてしまいます。
店舗運営頑張っていきましょう!