【ECの会計処理】モールポイントの処理とタイミングは?『値引きor広告費』『付与時or利用時』

【ECの会計処理】モールポイントの処理とタイミングは?『値引きor広告費』『付与時or利用時』

【ECの会計処理】モールポイントの処理とタイミングは?『値引きor広告費』『付与時or利用時』

ウチの会計士さんとバトルしてきました。
会計士さんから「売上総額が合わない」と連絡を貰い、私が集計するとあっているんですよね。

で、問題を追及していくと『ポイントの処理方法』に大きな違いがある事が解りました。
ここら辺をちゃんとしておかないと最後に大きな差が出てきたりするみたいです。

と言う事で、システムと関係ないのですがECのポイント会計についてまとめてみます。

「ポイントで購入しました」店舗側での処理は?

調べる限りでは明確なルールは存在していないようです。
そして、そのどれもが申告を通っているので現段階では「考え方次第」というとても曖昧なものになっています。

  1. 購入時に利用されたポイントは「商品の値引き販売」である
  2. 購入時に付与したポイントは「付与ポイント分の値引き販売」である
  3. ポイントは次回購入を促す目的のモノなので「広告宣伝費」である
  4. よくわからないから「雑費」で処理しておく

大きく分けるとこんな所の様です。

最初に現在の答え

明確な決まりが無い

これが2020年10月時点の答えです。
その為、自社の計算方法(ルール)を固定して算出していくことが正解となります。
どの計算方法が正しいかは答えが出ていないので会計士さんの認識によってそれぞれ処理されている事と思います。

今回、このポイントの件が明るみになったのは『私の出した集計結果』と『会計士さんの集計結果』に大きな差があったからです。この1年はポイント倍付けとか参加しなかったので、付与ポイントより利用ポイントの方が非常に大きい状態でした。

私はネクストエンジンを利用しており、会計士さんに提出した情報はこの集計結果。計算が合わないと情報を総ざらいしてみた所、ネクストエンジンさんの集計結果は「ポイント利用時に値引き処理をして売上算出」なんですね。これを会計士さんはポイントについては何の処理もしないで入金額を足すと言う積算方法で打合せ。そんな理由で合計が合わなかったわけです。

決まりが無いならどうすればいいの?

上の項にも書きましたが、会計上は『自社のルールを決めてどちらかに合わせる』必要があります(会計士さんにそう言われました)。なので「前年を踏襲して」となるのですが「実際の値と誤差の少ない正しかろう方に修正していかなきゃダメだろう」とバトっていたわけです。

だってねぇ、現実の結果を投影したものが財務会計書類になるはずなのに違ったら意味ないじゃん。
「去年この方法だからこの方法で算出するんだ」と強く仰ってましたけど「ポイント付与額って雑費?そこちゃんとすべきじゃない?」と言うバトルだったのです。

以降、ポイントの会計処理についての4つの考え方を見ていきます。

購入時に利用されたポイントは「商品の値引き販売」である

この場合に課題となるのが「店舗が付与していないポイントはどう扱われるのか」です。
今回のウチの問題ですね。100ポイント付与した状態で1000ポイントの利用があれば900ポイント分の収益をどう処理するの?となります。

これは「モールに所属してのポイントなのか」「自店舗で発行しているポイントなのか」でも考え方が別れます。

楽天市場を例に考えてみる

楽天市場のポイントには3種類あります。

  • 自店舗が付けたポイント
  • 他店舗が付けたポイント
  • 楽天市場が付けたポイント

さぁ、今利用されているポイントはどのポイントでしょうか。
答えは「色がついていないからわからない」となります。

ポイント動きから分かる事は次の2つだけ

  1. 『利用ポイント>付与ポイント』:自店舗でつけた以上に利用されている
  2. 『利用ポイント<付与ポイント』:付けたポイントが自店舗で100%利用はされていない

1の視点で見れば付与した以上のポイントは貨幣と同じ動きをしているのですからポイント利用額を「値引き」と考えるのには抵抗があります。
でも2の視点で見ると付与したポイントを利用して購入しているのと同じですから購入時に値引き処理するスタイルは理解できます。
ましてや自店舗でしか使えないポイントなのであれば、下の2項目の積算方法よりはるかに現実を投影しています。

購入時に付与したポイントは「付与ポイント分の値引き販売」である

ポイント購入発生時に値引き処理がしっくりこないなら「付与基準」で考えればいいじゃん。と言うのがこの方法です。モールに所属している以上、売上額に対して店舗のポイント負担が必ず発生しています。

楽天市場であれば最低で1%。ポイント倍付けしていればMAX20%。

商品購入時に付与されるこうしたポイントについて、付与時に値引きすれば自店舗で配布したポイントだけ換算する事が出来ます。利用での評価ではない為、ポイント発行に使った費用が割引額となって表れます。
ただ、ココにも問題が。

「付与したけど使われなかったポイントってどう計算すんの?」
「楽天ポイントを付与して、それが使われなかったら楽天市場への贈与になるんじゃない?」
期間限定ポイントとか、モールから独立した自店舗で付与するポイントにはこの『使われないポイント』が必ず存在します。

1000ポイント付与して200ポイント利用された。残りの800ポイントは実際に使われてないので宙に浮いたお金。
使われていないお金を使った事にして計上していいの?となるわけです。

「だったら、使われたポイントを割引として計算すれば確実に利用されたポイントだけ計算されるじゃない」と1項の方法を採用している会社さんが多いのだとか。

ポイントは次回購入を促す目的のモノなので「広告宣伝費」である

これは上記の2つとは発想が異なる考え方です。

ポイントを付与する理由は『次回購入を促す為』

この考え方から生まれた処理です。

正直言って宣伝広告の役割がある事は間違いありませんよね。
だから「宣伝広告費じゃね?」となるのですが、よく考えれば楽天とかのモールポイントって自店舗の購入に限らない訳ですから「楽天市場の宣伝広告費を店舗が出してんのおかしいでしょ!」となります。

楽天市場への贈与?それとも売り上げ割り戻し?
もうこうなってくると会計士ではない私の頭では処理しきれません。
詳しくはここら辺を参照してみてください。

これが自店舗でしか使えないポイントだったら宣伝広告費という考え方はよくわかるんですけどね。

よくわからないから「雑費」で処理しておく

そもそも「一番ダメだろう」と言う奴ですね。
中が見えないようにブラインドを落としたというか、臭いものに蓋をしたというか。

でも、こんな処理をしている会計士さん多そうな気がします。
それくらい「よくわからない」ですし、どう処理しても「どこかに歪がある」のがポイントの会計処理なんです。

結局は自社のルールを決めて歪みが出てもそれに則して会計するしかない

こんな状態で私に文句言われてもねぇ。

「そもそも今まで雑費で上げてたことが問題では?」
「今まで雑費だからこれからも雑費で上げる必要がある」
「いやいや、それじゃあ来年も『計算が合わない』って言いますよね」

と平行線をたどり只々時間が過ぎると言う…言いたいことは分かるけど、不毛です。

まとめ

会計士さんって結局『企業の味方』ではなくて「自分の固まった考え方に沿って申告処理をするだけの人」なんだなぁと強く感じた出来事でした。

でも、ポイント会計でこんなにめんどくさい事になってるとは知らなかった。
毎年言われるままに申告してたからなぁ。
そこは大きな反省です。

ちなみにこのポイント処理の話、割引クーポンでも同じです。
今のところ正なる解がない。