商品売価自動調整機能を実装し実用度を調べてみた

商品売価自動調整機能を実装し実用度を調べてみた

商品売価自動調整機能を実装し実用度を調べてみた

自動価格調整機能。

各モールで【価格比較の容易さ=ユーザービリティ】という認識が強まっている。
その為、EC業界はの価格勝負の色が濃くなってきており、まるでチキンレースの様になっている。
そんな中であったら便利だなと思い作成してみた機能が【自動価格調整機能】になる。

今回は運用テストとして下記状態で実行してみた。

  • 全商品の他社売価を確認し記録する
  • 実際のモール反映は最安値でもなんとか利益の出る一部商品限定し実行する
  • 価格調整を実行した商品についてはJANコードを記載し、他社の価格自動調整システムで情報収集可能な状態にする

この結果わかったことをまとめてみます。

実験実施期間と実行モールについて

2019/12/15 ~ 2020/01/18 の約1か月間、楽天市場にて実施しました。

最安値の値付けをしても最低価格をかぶせてくる店舗は少ない

某システム屋さんのアプリに価格自動調整機能がありますが、利用されている率は少ないかもしれません。

ジャンルや時期、モールによる違いもあるとは思いますが、自動処理をしていれば連休も関係なく追随してくるはず。今回の実験ではこのような追随は見られませんでした。
が、正月明けに価格調整(下をくぐる値付け)をしてきた店舗はありました。

ただ、この価格調整も値下げを実行した(相手も出品している)全ての商品で行われませんでした。

その為、可能性としては以下の2つが考えられます。

  1. 更新回数を決めて商品価格をチェック/修正している
  2. 常にチェックしているが値下げを実行するのは実行可能な商品のみに限定している

まぁ、感覚的には後者であろうと考えています。

最安値価格には明らかにオカシイ値付けがされている事がある

商品売価について楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonの価格情報を調査してみました。
対象はウチの取扱商品すべて。

その結果は以下の通りです。

  1. 最安値はYahoo!ショッピングである事が多い
  2. Amazonは一番高い事が多い
  3. 楽天市場売価 > Amazon売価 の時、Yahoo!ショッピングでは詐欺的な店舗による異常な値付けが存在している事がある
  4. 楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング共に利益を考えていないと思われる出品が存在する

私はメーカー社内にて作業をさせてもらっている為、メーカーの原価を知り得る立場にいます。
その私から見て、明らかにおかしい値付けが多々存在しました。

メーカー原価からみて10% 程度の利益率で出品されているものがある

もうね、何したいのかわかりません。
メーカーから卸店に利益を乗せずに流さない限り損失出ます。
金バラまいて販売する意味が解らない…。

ホント何したいんでしょうかね。

明らかにおかしい商品を数点カートに入れるところまで操作してみて分かったことはYahoo!ショッピングは要注意値言う事です。

メーカー原価800円の商品が560円で販売している店舗を見つけ操作してみた所、送料は商品毎に計上され、その額3,000円。発送場所は東京都。東京から新潟に100サイズ、ヤマトで送る通常価格よりも高額です。

売価で釣って総額で(だまして)売ろうというつもりなのでしょうけど、こういう店舗があるから売価がおかしく値下がりするんですよね。ほんと腹立たしく感じました。

下がった(下げた)価格は上がる事はない

値下げした商品の中で更に価格をくぐられたものがあったと記載しました。
その商品について、値上げをしてみましたところ、値上げを追ってきませんでした。

どこの会社も商品は高く販売したいものです。値上げの機会があれば値上げしたいのが本音。
なのに、一度下がると2番手との差額が200円あっても追随して値上げしてこない。
まぁテスト期間が短いためもう少しスパンを見ると値上げの調整もされるのかもしれませんが、ちょっと不思議でした。

他社システムの仕様を見てみると値上げのフラグは無かった

例えば、価格差が○○円あったら2番手の価格から10円下げて値付けするとか、そんな機能もあってよさそうだと思ったのですが、持っていた機能は値下げと希望利益より下回った値付けはしないという機能でした。

でもね、この機能つけたシステムが同じ商品で値付けしあったらそれだけで下がるところまで下がっちゃうんですよね。

システム屋の頭の中には値上げという単語は存在しないのか?

他社よりも明らかに高いのに売れている商品が存在する

これもあくまでもウチの場合ではありますが、最安値から5番手くらいまでの店舗さんよりも値段が高いのに売れている商品があったりします。

自動価格調整を実行すると、こういった【高く売れている商品】も一律で価格を調整してしまいます。

商品が売れているか否かは販売情報を蓄積するしかなく、また別システムの開発が必要になってしまい現実的ではありません。調整除外フラグをホワイトリストで行うかブラックリストで行うか。悩ましい所です。
※今回のテスト実装はテスト商品が少数であるためホワイトリストで行いました。

自動価格調整機能を実装する意味はあるか

「とにかく価格争いに付き合うぞ!」という仕入価格に自信のある店舗さんなら素晴らしい機能かもしれません。
でも、多くの店舗さんは「なんだこの価格?」と驚いた経験をしていると思います。
そうなると、追随したが故に売り上げは上がったけど利益は下がったという状況が出てくるでしょう。

我々が欲しいのは売上ではなく利益です。
極端な話、売上1000万/利益20万 よりも 売上30万/利益30万の方が良いわけです。

となると、限界まで利益を下げてしまうシステムの利用は現実的ではないように思います。
丁度いいラインは【売価に差がある商品を抽出する機能】でしょうか。

まとめ

価格追随機能をテスト運用してみて、かなり危険な代物であると実感する事が出来ました。
また、他店ではあまり使われていないのではないかという感想も持つに至りました。

店舗としては値上げ可能なタイミングがあれば値上げをしたいもの。
そんな事を考えると、価格差を計算して検索する機能がある程度で良いのかなと思います。

増減どちらの可能性も合わせて検索出来ればきっと便利な機能になると思います。