EC事業の課題の一つ『送料』と『お得感』について考えてみる

EC事業の課題の一つ『送料』と『お得感』について考えてみる

EC事業の課題の一つ『送料』と『お得感』について考えてみる

昨日こんな記事が目に留まりました。

アマゾンと配送業者に契約トラブル、ドライバー悲鳴 「この配送センターはつぶれます」「いきなり無職に」

詳細は不明ですが、一部では「配送時間を守らない/荷の扱いが悪い/水増し請求があった」などが理由だと言われているようです。

さて問題です。
あなたはEC事業者です。請求できない配送費、あなたはどちらの配送会社で発送しますか?

  1. 赤字になるけど配送品質の良い配送会社
  2. 利益は出ないけど配送品質はソコソコの配送会社
  3. 配送品質は悪いけど利益を出せる配送会社

普通の企業ならば3しか選択の余地はない

「お客様のためを思って」と言うと聞こえはいいですが、従業員のためを思えば選択肢の1も2もあり得ません。でもAmazonさんは【送料無料】をうたい続けてきました。

なぜか。
業者を叩けばいいという思想もあったとは思います。
が、何よりも顧客心理を突いて「安い/お得」と思い込ませる販売重視の視点だったからと思います。
薄利多売を地で進んだと言うかね。

そろそろね「送料無料」ってウソは止めた方が良いと思います。
だって、送料は何処かから回収しているから事業が回せるんですから。

そもそもの根本原因

それはひとえに『委託運賃の低さ』です。

『2013年4月に佐川がAmazonの配達から撤退』した事とその後の利益率が良い例でしょう。
興味のある方はこちらの記事などを参考にしてみてください。

事業者として賃金が「低い」と感じる要素は次の2つがあります。

  1. 純粋な賃金の低さ
  2. 長い拘束時間による効率の悪さ

私はAmazonの出荷部隊についてはよくわかりません。
でも、倉庫入荷に関しては運送会社から苦情を貰う事が度々ありました。

  • 入荷時間に向かってもAmazon倉庫に荷入するトラックが列になっていて待ち時間が長い。
  • 順番がやっと来ても入荷時間と異なると荷受してもらえない事がある。

だから「Amazon倉庫への入荷はやりたくない」と。

こんな理由があってからなのか、今は佐川急便などの指定の会社のみがAmazon倉庫へ入荷できるように変わったのですけど、荷送人の立場からすると「安い運賃の会社を選択できない」状況になってきています。
(小売りではなく、卸事業者としての見解です)

AmazonではAmazon倉庫に入荷しないと商品が売れにくいのが常識

出荷作業をしなくてよいメリットは確かにあります。

でも、月間で40個に満たない販売数の商品やそもそもの価格の低い商品などは自社倉庫からの発送よりもAmazon倉庫税加算額が増えすぎ商売になりません。それでもAmazon倉庫に預ける理由は「Amazonに評価をカサ増し」してもらえるからです。
そうじゃなきゃAmazonに入れるメリットは薄いです。

店舗から徴収するAmazon税は(商品品目で異なりますが)大体15%程度。倉庫費用も支払っているのに安い配送費の運送会社をAmazonが勝手に選択して「荷物が変形してる」等とクレームを貰い店舗の評価が下げられて費用も店舗持ち。

いやぁ、つらい。

送料を選べるようにすれば解決するのでは?

ECと言う事業は必ず配送を伴います。
そして、今回問題の切っ掛けになっているのが『配送の質』なのであればお客様が選択できるようにすればいいのだと思います。

  1. 届かない/変形するかもしれないけど送料は掛からないプラン
  2. 分単位まで指定できるけど超高額な配送費を支払うプラン
  3. 宅配はしない「基地局」に取りに行くプラン
  4. 配送伝票など決められたことは間違いなくこなす連絡重視プラン
  5. 配達回数の度に送料が加算されるプラン

この選択肢で『最も安い』の選択者は100%にはならないはずです。
お客様が選択するのであれば『安さ』だけを前面に出して質を低下させることもないでしょう。

質の維持も配送費用の回収も出来るのですから『3方良し』だと思うんですけどねぇ。

そろそろ顧客心理が変わらなきゃならない

「送料なんて払いたくない」

気持ちは分かります。でもそこに次の言葉が続かなければいけないと思います。
「だからネットショップは利用しないで近くのお店で購入する」
こうなれば、市中のお店に人も回ります。

楽天市場曰く「送料を無料にすると売行きが倍増する」と「楽天がAmazonに負けているのは配送費によるところが大きいから3980円送料無料を行うのだ」と。

タダで良いものを取得しようという認識を改めないといつまでもデフレから抜け出せないのではないでしょうか。

まとめ

今回の記事のコメントで「Amazon配送は質が悪い」というコメントをいくつか拝見しました。

「だって配送費払ってないでしょ?質を求めるならちゃんとした対価を支払おうよ。」

私はEC事業者なのでこう思ってしまうのですけど世論はどうなんでしょうね。
さぁ今日も頑張りますか!