卸業者から見た現在のマスク供給事情について

卸業者から見た現在のマスク供給事情について

卸業者から見える現在のマスク供給事情について

通販ではランキング上位が『マスク』に独占されるほどマスク特需が続いています。
本記事を記載している2020/04/23 現在の『卸業視点のマスク供給状況』について記載したいと思います。

マスク不足はいつ解決する?

まずは結論を先に書きたいと思います。

マスク不足は5月末~6月中頃に解消されると思われます。
但し、一部の買い占め部隊(転売ヤー/国による買い占め)がいない事が前提の話です。

マスクの輸入状況は?

2020年4月中旬より、中小卸業の中でもマスクの入荷が順調に回り始めています。

原価は(卸業レベルで)従来の3~5倍。感覚的には安価な商品の方が値上げ率が高く、高額なマスクは意外と良心的で2~3倍程度にとどまっている感じです。

色々な会社さんの入荷原価をお聞きしたところ、安価なタイプのマスクで市場価格40~50円/枚程度の値段で出回るのではないでしょうか。高品質なタイプ(3層構造とか)は80~100円/枚程度で出回りそうです。

現状は各港から其々の卸会社さんの倉庫に荷物が移っている段階。
その為、弊社のようなECモール出店企業に対してまで営業電話があります。

卸業から小売りに回りだす事を考えると、5月中旬には(潤沢とは言えないまでも)現状よりは回復していると思います。そして、お店に並ぶ状況になるのには更に1~半月程度必要でしょうから、5月末から6月中頃に向けて解消されると思います。※あくまでも買い占めがいない事前提での話です。

課題は医療用マスク

上記スケジュール感はあくまでも一般家庭向けのマスクの話です。
医療用マスクに至っては中々ハードルが高いそうです。

例えば、高品質マスクの中には(認可関連の問題で)「医療用」と表記できないため一般向けに流通してくるものがあります。質の担保は必要だと思いますが、国外企業の会社が突然医療用マスクを作るのは厳しいようです。

マスクの材料『不織布』の不足

原価が上がっている背景には『不織布』の奪い合いがある様です。
不織布と言えば、クイックルワイパーのような掃除道具にも利用されていますが、現在はこういった日用品の製造に不織布は回ってこず「とにかくマスク」という感じで、そちらに材料が動いています。

このような背景の中で、不織布の需要が上がっていますから『材料費』の値上がりが発生しマスクの原価に反映されているのだそうです。

今怖いのは仕入れ会社が商品を吟味できていない事

「とにかく不足しているから急いで入荷したい」という要望が多く、輸入会社が商品吟味を出来ていません。

一部商品では品質チェックを行い『合格証』を獲て出荷されているものもありますが、総じて【高品質】の部類に入る商品ばかりです。
その為「不織布が透けるほど薄かった」とか「ゴムの止付けが悪くすぐ取れた」というモノも低価格商品の中には紛れています。

ECでご購入の際には商品を手に取ってみる事が出来ない為、これらの状況がある事を十分に考慮して購入商品を選定した方が良いと思います。

「無いよりマシ」ですが「良品に越したことはない」です。

ECモールの状況

上記のような「低品質」なマスクは『数』を作る為に製造されたものです。

まず行き渡らせる事を念頭にしていたため質より数を選択していたのですが、ECを中心に多くの苦情があったようです。
その為、EC各モールではマスクの流通に制限を掛けています。
具体的には【許可された店舗(商品)以外の販売禁止】です。許可制になったと言う事ですね。

そして、その許可は申請から1週間を経過しても下りてきません。※合否どちらのアナウンスもありません。
このような状況ですから、ECでの販売は店舗が入荷してから2週間後からの販売というスピード感になると思われます。街中のドラッグストアさんよりもECの方が動きが遅いと考えて間違いないと思います。

まとめ

マスク不足は必ず解消されます。
その為に、各卸業者さんも頑張って商品の入荷を計画しています。

焦らず、独占せず、自己の利だけ追わず、出来るだけ多くの人が商品を手にできるように。