外国人労働力受入れ拡大の本質的な問題点(ちょっと真面目な話)

外国人労働力受入れ拡大の本質的な問題点(ちょっと真面目な話)

外国人労働力が欲しいのは力のある中小企業です

外国人労働力の受け入れ、何が問題だと思いますか?

私的意見ですが、整理するとほぼこの3つに集約できると考えています。

  1. 自分に合った企業を探すことが出来ない(離職NG)
  2. 日本語が出来ないから指示指導が伝わらない
  3. 手取り金額が少ない

1つ1つ解説してみます。

自分に合った企業を探すことが出来ない

就職するときって、企業を調べて、待遇や立地など自分に合うか考えますよね。
それでも企業内の人間関係は外側からはわからないので肌に合わず『退職』なんて方も少なくないのが現実です。

日本人であれば、その後の再就職にハローワークが活躍してくれますし、決まるまでの間バイト情報誌を見て生活費をつなぐこともできます。

あくまでも【技能実習生】に限ったことですが、この再就職が出来ないのです。
その企業で就労するために入国した人なので、入社後肌に合わないと感じても退職⇒再就職が出来ない。
つまり、期間が終わるまで我慢するしかない。

これって結構地獄じゃないですか?

日本語が出来ないから指示指導が伝わらない

私は最大の問題がここにあると思っています。

最初から日本語が出来る人であれば、社長や現場スタッフの指示指導を的確に処理できるでしょう。
でも、そもそものコミュニケーションに難点があるんです。

企業はお金を稼ぐために運営されています。
そこに何もできない人が入ってきたら、最初は教育から始まりますよね。

教育って『やってみせ言って聞かせてさせてみて褒めてやらねば人は動かず』(by山本五十六)です。

言葉が通じないと『やってみせ させてみて』だけなんですよね。
それじゃあ人は育たないし自分が【技能実習生】の立場だったら鬱になります。

また、本当に労働力が欲しい『地方の金はないけど技術はある企業さん達』は社長、現場責任者の語気が粗い会社が多いです。
悪気がある訳じゃないんですよ。でっかい声で怒鳴った後ケラケラ笑ったりする、いわゆる漢気の強い人が多いんです。
でもですよ、言葉が通じない中で怒鳴り声で叱責されたらどうです?

だから最大の問題点が『日本語を話せない人が就労に来る事』だと思ってます。
本当にいい制度にするためには就労前に母国で日本語教育すればいいんですよ。
これだけでだいぶ違うと思います。

手取り金額が少ない

最低賃金より少ないと報道でされてますが、そんな企業は一握りなはずです。
だって最後は会計通さなきゃいけないんですから。

なので、これらの報道の本質は『手取りが少ない』なのです。

なんで手取りが少なくなるのか。
そこに『力のある中小企業が外国人労働力を欲しがってる』と冒頭記した意味があります。

私の知っている技能実習生を雇い入れている企業さんの実例です。
金額はあくまで参考としてみてください。

給料額 - 各種税金 - 家賃 = 手取:7万円

曲者は【家賃】です。
日本語の解らない方はアパートの大家さんに嫌がられる事があります。
その為、力のある中小企業さんは自社アパートを用意し就労者から家賃を徴収します。
人のいい企業さんなら2~3万程度なのですが、7万以上の請求をする企業さんもある様です。
そして、その費用を給料から差し引きます。

給料としてはしっかり支払いをしていても、結局企業の手元に資金が返ってくるので実質の支払いは少なくカウントできる。
そんなカラクリが当たり前のように運用されています。

もう一つの曲者【雇用安定助成金】

雇用の安定を図るために存在している助成金制度に【雇用安定助成金】があります。
これは、仕事の無い時に(次の仕事につなげるための)社員教育を行えば1日当たり6000円を返金不要な助成金として補助しますよと言う制度です。

力のある中小企業さんは実はこの制度もしっかり活用します。
雇用した外国人労働者に対し『日本語教育』を施す事で社員教育をしたと申請、6000円/日を受け取る訳です。

6000 × 22 = 132000円
ここまで露骨にする企業さんもないと思いますが、22日実施と申請すれば132,000円が助成金として補填されます。
これに家賃70,000円を加えれば202,000円。

更には日本に就労で来る外国人労働力は母国ではそれなりの優秀な人だと思っています。
日本語を覚えて、日本人以上に使えるスタッフになれば…
やりくり上手な経営者視点で考えれば受け入れたくなるでしょ?

労働力が減る事を懸念するならまず生産性を上げればいい

ひとりで出来る事を増やせば単純に生産性が上がります。
1人が1つづつ仕事をした時、100の仕事をこなす為には100人が必要です。
でも、1人が10の仕事をこなせる様にすれば10人で済みます。

労働力が欲しいのか、生産力が欲しいのか、これを明確にしないといつ迄たっても生産性は向上しません。
将来の労働人口減少が怖いなら、生産性を増やすことに投資すれば?と思うのです。

何故かその為の資金提供って少ないんですよね。
多分、将来に対しての投資って考えをお役人の方たちが出来ないからなんだと思うんですけど。

まとめ

    • 結局欲しいのは【安価な労働力】以外の何物でもない。
    • 力のある中小企業は技能実習生を安価な労働力として使っているのが実態。
    • 生産力の降下を懸念するならまずは生産性向上に投資しよう。