税込経理でも利益はずれる — 自分の見積もりと税理士の試算が合わないとき、消費税で確認したこと
はじめに
一人で法人を経営していて、決算の前に自作のツールで利益を見積もっています。税理士の試算と見比べると、差がありました。
消費税を二重に引いていた誤りと、社会保険料を多めに見積もっていた誤り(どちらも別の記事に書きました)を直したあとも、まだ差が残りました。この記事は、その残った差を調べる中で、消費税について確認したことの記録です。
結論は、税理士の確定した集計を待って確かめるところです。ここでは「何を疑い、どう確かめたか」を書きます。税務の個別の判断は、必ず税理士に確認してください。
背景
会計の記帳の方法には、「税込経理」と「税抜経理」があります。
- 税込経理:売上も経費も消費税込みで記録し、納めた消費税は「租税公課」という費用にする
- 税抜経理:消費税を分けて記録する
年間で見れば、どちらで記帳しても税引前の利益は同じになります。税理士の事務所は税込経理だと分かったので、自分の見積もりも税込経理の並びで見られるようにしました。
それでも差が残ったので、税込経理の中身をもう一段掘りました。
起きていた課題
税込経理では、消費税を「どの期の費用にするか」に2つの方法があります。
- 未払計上:今期の分の消費税を、今期の末に「未払消費税」として今期の費用にする
- 申告基準:消費税を、実際に申告・納付した期の費用にする
自分の見積もりは 1 の考え方で、「今期の納付見込額」を今期の費用にしていました。
もし税理士が 2 で処理していたら、今期の費用になるのは「今期の分」ではありません。
- 前期の分の確定申告で、今期に入ってから納めた消費税
- 今期の途中で納めた中間納付
この合計が、今期の費用になります。前期と今期で消費税の額が違えば、その分だけ今期の利益がずれます。
架空の数字で言うと、前期の消費税が年 70万円で、今期の中間納付が 35万円なら、申告基準の今期の費用は 70万 + 35万 = 105万円です。未払計上で今期分の 70万円を費用にする場合と比べて、利益は 35万円小さくなります。
検討したこと
期中に「消費税を2回払った?」と思った
銀行の振込履歴を見ると、決算月から2か月後のほかにも、期の途中に税金らしい振込が何回かありました。最初は「二重に払ったのでは」と心配しました。
日付と金額から、どれが何の税金かを見当づけました。
- 決算日の翌日から2か月以内(原則):前期の確定申告の納付
- 期首から6か月が過ぎて2か月以内:消費税の中間納付(年1回の場合)
- 7月10日ごろ・1月20日ごろ:源泉所得税の「納期の特例」による納付(1〜6月分、7〜12月分)
- 金額が100円単位で切りがよいものは、前期の実績から計算する中間納付の可能性が高い。端数が出ているものは、給与から天引きした源泉所得税の可能性が高い
消費税の中間申告が年に何回必要かは、前期の消費税(国税分)の額で決まります(目安)。
| 前期の消費税(国税分) | 中間申告 |
|---|---|
| 48万円以下 | 不要 |
| 48万円超〜400万円以下 | 年1回 |
| 400万円超〜4,800万円以下 | 年3回 |
| 4,800万円超 | 年11回 |
これに照らすと、期の途中の振込のうち消費税は1回だけで、残りは源泉所得税だと見当がつきました。二重に払っていたわけではなく、中間納付でした。
ただし、これはあくまで見当です。どの税目の納付かは、納付書の税目欄か、e-Tax の納付履歴で確かめるのが確実です。
比べている数字の基準は同じか
中間納付が分かったことで、「税理士の試算の租税公課には、どの消費税が入っているのか」という疑問に変わりました。
- 今期の分(未払計上)なのか
- 前期の確定分と今期の中間納付(申告基準)なのか
ここが違えば、計算式がどちらも正しくても、数字は合いません。
実際に行った対応
税理士に次の2点を聞くことにしました。
- 今期の租税公課に、消費税はいくら計上されているか
- 未払消費税を計上しているか、納付した期の費用にしているか
申告基準だった場合は、見積もりツールに「消費税を費用にする時期(未払計上/納付時)」の設定を足し、納付時なら期中に納めた消費税の額を使う形にするつもりです。
得られた学び
- 税込か税抜かを揃えても、まだ揃っていないことがある。 税込経理の中にも、消費税を費用にする時期の選び方がある
- 期中の税金の振込は、慌てる前に日付と金額で見当をつける。 確定申告・中間申告・源泉所得税の期限はそれぞれ決まっていて、並べると見分けられる
- 数字が合わないときは、計算式より先に「基準が同じか」を聞く。 自分で推測を重ねるより、税理士に「どちらの方法か」を聞くほうが早い
まとめ
自分の見積もりと税理士の試算が合わないとき、原因は計算の誤りだけとは限りません。税込経理・税抜経理、消費税を費用にする時期、売上を計上する基準など、「同じものを比べているか」を1つずつ確かめていくと、差の正体が見えてきます。
見積もりは、自分の判断の材料です。帳簿と同じ基準に揃えたいときは、税理士にその基準を聞いて、見積もりの側を合わせるのが近道だと感じました。
